「そのとおり。そしてそれがきょうの要点だ。一行目に “This little pig wenT To market.”とあるね。この行では wenT の ”T” と To の ”Tが続いている。”このように、伸ばせない子音同士で、発音方法が同じかまたはよく似た2つの子音が続くときには、語尾の子音を飲んで語頭の子音を優先して発音する。よってここの発音は “This little pig wen(t) To market.”(著者注釈:カッコ内は飲む音。発音しない。ここに間を残すことでリズムを保つのが英語の特徴である。)
「音を飲む箇所がほかにもあるかな。」
「……3行目の “d” は飲みます。」
「そのとおり。ほかには?」
「4行目の “d”と“g” も飲みます。」
「そのとおりだ。ほかには?」
「…………ありません。以上で全部です。」
「そうだ。では音読してみよう。私に続いて、2人で1行ずつ復唱してくれ。This little pig wen(t) to market.」
「This little pig wen(t) to market.」
「3行目。This little pig ha(d) none.」
「This little pig ha(d) none.」
「An(d) this little pi(g) cried.」
この日、ボクたちは Sherilyn Monroe の練習を3分くらいやって解散した。遼一はオンラインに残ってボクとLINER で話をした。
「Humpty Dumpty sat on a wo-u…………couldn’t put Humpty Together argain.」
「うまくなってるな。じゃ、次はボクね。Humpty………………together again.」
突然拍手が聞こえてきた。パチパチパチ。
「上達してるじゃないか。いいぞ。」
「何かおかしなことはなかった?」
「いや、教えたことはちゃんとできてた。ならつぎをやろう。”This Little Pig Went to Market.” だ」
This Little Pig Went to Market
(Mother Goose)
This little pig went to market.
This little pig stayed at home.
This little pig had roast beef.
This little pig had none.
And this little pig cried;
“Wee-wee-wee-wee-wee.
I can’t find my way home.”
この子豚は市場にいった。
この子豚は家にいることにした。
この子豚にはローストビーフがある。
この子豚には何もない。
そしてこの子豚は泣いた。
「えーん、えんえん、えーんえん。
帰り道が見つからないよう。」
先に説明してこう。英語では、音を「飲む」ことがよくある。伸ばさない子音同士が続いてその二つの子音の発音が同じかまたは似ているときだ。例えば一行目。went to では2つの t が続く。こんなときは語尾の を飲んで語頭の t を優先して発音する。すると、”This little pig wen(t) to market (t は発音せずに飲んでしまう。)”。このほかにも飲む音と飲まない音の組み合わせがあるけど、いまは “this little Pig Went to Market” に集中すればいい。あとは追々覚えていこう。
「Humpty Dumpty sat ‿ on ‿ a wo-u. Humpty Dumpty had ‿ a great fo-u. All the king’s howses, and ‿ all the king’s men, couldn’t put Humpty together ‿ again.」
「その主人公の人形を作っておいて、左手には実は特殊な銃が仕込んであり、銃であるはずの部分が実はペンでした、というものなんだ。ここまでは遼一とボクの二人が出したアイティアで、ここから先はボク一人のアイディア。その人形の脚は台座に取り付けて、台座の側面には This is a pen. って書くの。そして本体と腕は脱着できるようにする。」
今日の課題は2桁の掛け算と割り算。こと2桁の計算となると、大きな位から計算を進めるインド人のやり方の方が優れていると思う。例えば34×12なら10 x 30を先にやる。この答えは300。次は10 x 4=40。次に2x 30=60。最後に2x4=8。以上の合計が408。こうすると大きな位から順番にわかってくるので、大きな間違いがない。最初の300が出た時点で、「あ、最終的な答えが1000を超えることはないな」とわかる。インドには2桁掛け算の九九があって、皆それを覚えてしまうらしい。ボクもやってみようか。10 x1=10, 20 x2=40, 30 x3=90 (中略)90 x9=810。良し!法則性が見えてきたぞ。じゃあランダムに70×5=350, 60×7=420。「数十掛ける数十」なら、答えにゼロが2つつく。10×10=100(中略)90×90=8100。なんだ。覚えるまでもないや。少し考えればわかることだ。基本的には一桁九九と同じで、一桁九九の終わりに、イコールの右と左の0の数を揃える。それだけだ。インド人は本当にこんな2桁九九を覚えるのか?暗算に慣れてるだけじゃないのかな。
はい。掛け算終わり。割り算は掛け算の逆だから、掛け算ができれば割り算もできる。次の章に進もう。
次の章は分数の掛け算と割り算。分数になったら、掛け算するときには分母同士と分子同士を掛けておいて、最後に約分する。慣れると計算途中で約分できるようになる。例えば、(5/12) x (3/7)なら12と3で先に約分して、=(5/4) x (1/7)とする。答えは5/28。割り算は、クラスメイトが塾で習ったやり方を使おう。割る数の逆数を掛けるというやり方だ。こうすると割り算は掛け算になるので、簡単にできる。はい。分数の章も終わり。
「”Humpty Dumpty sat on a wall…………………………couldn’t put Humpty together again. …… This Little Pig Went to Market…………………… I can’t find my way home.” ……よし、録れてる。さて、学校には英語活動なるものがあったね。ということは二人とも英語が少しは読めるはずだ。一行ずつ、交代で読んでくれ。遼一くんから。」
今夜は主に1)の問題を解消する練習をする。英語には、子音で終わる単語がいっぱいある。子音で終わる単語に、母音で始まる単語が続くとき、この子音と母音は音がつながる。この現象をリエゾン(liaison)という。例えば一行目。sat は子音で終わり、その次の on は母音で始まる。このとき sat の t と on の o がつながる。ローマ字で t+o は何かな?」
「『ト』です。」
「智哉の答えは?」
「『ト』です。」
「はい、二人とも正解。リエゾンを書くときには sat ‿ onという具合に、下に凸の弧を書くことで、二つの音がつながることを表す。一行目にはリエゾンするところがもう1箇所ある。どこにあるのだろう。」
「on が子音で終わって a は母音だから、このふたつの単語がリエゾンします。書くなら on ‿ a となります。」
「正解。智哉、二行目にはリエゾンする箇所があるかな。」
「 had ‿ a」
「では三行目はどうだろう。」
「リエゾンしません。」
「正解。智哉、四行目は?」
「and ‿ all。」
「正解。では最後、五行目は?
「リエゾンしません。」
「ふふん。するんだな、これが。もういちど考えてごらん。」
「…… 先生、r は子音ですか?」
「遼一くん、素晴らしい質問だ。智哉、答えてごらん。」
「……カタカナで書くときはこの単語の語尾をトゥゲ『ザー(Tugezaa) 』って伸ばすから母音みたいにも思えるけど、ローマ字を書くときには r はラ行の子音だから、英語でも r は子音じゃないかな。」
「この場面でローマ字を思い浮かべるのはとてもいいね。そう、そのとおり。英語の r は子音なのだよ。ということは together again の発音は?」
「together ‿ againは r+a のリエゾンだから ラになる。」
「そのとおり!それじゃあ二人とも立って。一行ずつ私に続いて読んでくれ。Humpty Dumpty sat ‿ on ‿ a wall.」